瞑想の効果を感じないのはなぜか — 「効果がない」と思う前に

つまずき・悩み

瞑想の効果を感じないのは、効果がないからではなく、探している場所と時期が違うことが多いです。
効果は瞑想中ではなく日常に現れ、数日ではなく数週間から数か月のあいだに、ふと気づく形で出ます。
効果を点検するのをやめることが、効果に気づく近道です。

「効果がない」と感じる人が多い理由

瞑想を始めて数日から数週間、「何も変わらない」「意味がないのではないか」と感じる方は、とても多いです。本や動画では「集中力が上がる」「ストレスが減る」「心が穏やかになる」と書かれているのに、自分には何も起きない。「私には向いていないのかもしれない」と思う。

この感覚には、いくつかの原因があります。効果がないのではなく、効果を探している場所、期待している形、見ている期間が、瞑想の実際とずれていることがほとんどです。順に見ていきます。

理由1 — 効果を瞑想中に探している

最も多いのは、瞑想している最中に効果を探していることです。座りながら「落ち着いてきたか」「集中できているか」「何か変わったか」と点検する。すると、雑念だらけの自分が見つかり、「効果がない」と結論する。

しかし、瞑想の効果の多くは、瞑想中ではなく、日常のなかに現れます。たとえば、仕事で苛立つ場面で、以前より一呼吸置けた。家族の言葉に、以前ほど反応しなかった。夜、布団に入ってから考えごとが減っていた。こうした変化は、瞑想の最中には見えません。後になって、「そういえば」と気づくものです。

瞑想中は、効果を点検する時間ではありません。息を数えて、雑念に気づいて、戻る。それだけをする時間です。点検は、瞑想の邪魔になります。

理由2 — 期待している形が違う

二つ目は、期待の形です。「心が静まり、深い安らぎに包まれる」「無の境地に入る」「光や温かさを感じる」といった体験を効果だと思っていると、それが来ないことを「効果がない」と受け取ります。

しかし、瞑想で養われるのは、特別な体験ではなく、ごく地味な働きです。「心がそれたことに気づいて、戻る」という働きです。この働きが育つと、日常で気持ちに流されそうになったとき、少し早く気づけるようになる。それが瞑想の効果の中身です。派手ではありませんが、生活を変える力は、こちらのほうが確かです。

特別な体験は、起きることもあります。しかし、それを目標にすると、瞑想は続きません。体験は副産物であって、目的ではありません。

理由3 — 期間が短い

三つ目は、見ている期間の短さです。数日、一週間で変化を求める方が多いのですが、瞑想の変化は、数週間から数か月の単位で現れます。

研究の分野でも、瞑想のプログラムは8週間程度の期間で評価されることが多いです。マインドフルネスストレス低減法(MBSR・Kabat-Zinn が始めた8週間のプログラム)がその代表です。これは「8週間続ければ効果が出る」という意味ではなく、変化を見るにはそのくらいの期間が必要だと考えられてきた、ということです。

ですから、最初の1〜2か月は、効果を問わずに続けることを勧めています。その期間を過ぎたころに、ふと振り返ってみてください。

理由4 — 変化が小さすぎて見えない

四つ目は、変化はあるのに、小さすぎて気づかないことです。

瞑想の変化は、毎日少しずつ起きます。昨日と今日を比べても分かりません。一か月前と比べて、ようやく「少し違うかもしれない」と思う程度です。これは、成長期の子どもの身長が、毎日見ていると分からないのと同じです。

気づく助けになるのは、記録です。瞑想した日に、一行だけ、その日の気分や出来事を書いておく。一か月後に読み返すと、自分では気づかなかった変化が見えることがあります。ただし、記録は点検ではありません。「効果があったか」を書くのではなく、「今日はどんな日だったか」を書いてください。

理由5 — やり方が合っていない可能性

五つ目は、やり方の問題です。ここまでの四つに当てはまらず、数か月続けても何の手応えもない場合は、やり方を見直してもよいかもしれません。

確認する点は、次の通りです。

どれかに当てはまれば、そこを直すだけで、手応えが変わることがあります。

効果について、研究が示していること

瞑想の効果については、研究の蓄積があります。ただし、その範囲は限られており、「何にでも効く」わけではありません。

2014年に JAMA Internal Medicine に発表されたメタ分析(Goyal らによる、複数の研究をまとめて検討したもの)では、マインドフルネス瞑想のプログラムが不安、抑うつ、痛みに対して中程度の効果を示したという報告があります。一方で、気分や注意、睡眠、体重などについては、十分な証拠が得られていないとも述べられています。

また、2015年に Nature Reviews Neuroscience に発表された総説(Tang・Hölzel・Posner による)では、瞑想が注意の制御や感情の調整、自己への気づきに関わる脳の働きに影響することが示唆されています。ただし、研究の方法上の限界も指摘されています。

ここから言えるのは、瞑想には一定の効果が報告されている一方で、効果の現れ方は人によって異なり、研究の対象も限られている、ということです。「効果を感じない」ことは、研究の知見と矛盾しません。効果の詳しい話は瞑想の効果 — 科学が示したこと、示していないことに書きました。

仏教から見た「効果」

ここで、仏教の瞑想の伝統から、一つの視点として見方を添えます。

仏教の瞑想は、もともと「効果を得るため」のものではありませんでした。心を静め、ものごとをありのままに見るための実践であり、何かを手に入れることより、手放すことに重きが置かれていました。「効果があるか」と問うこと自体が、何かを得ようとする心の働きであり、瞑想はその働きを静かに眺める側に立つものです。

密教では、修行の成果を自分で測ることを戒める面があります。身(からだ)・口(ことば)・意(こころ)を整える三密(さんみつ)の実践は、整ったかどうかを自分で点検するものではなく、ただ繰り返すものです。繰り返しのなかで、点検していた心が、いつの間にか静かになっている。それが密教の観法から見た「効果」です。

「効果を感じない」と感じているとき、その「感じようとしている心」を、一度眺めてみてください。眺められたなら、それはもう瞑想の働きです。

康照から、ひとこと

私は、「効果を感じない」という言葉を聞くたびに、効果を探している目の向きが気になります。
瞑想中を見ても、効果は見つかりません。
効果は、日常のどこかに、ふと落ちています。
苛立つ場面で、一呼吸置けた。
それに気づいた日が、効果に気づいた日です。
瞑想は、何かを得る時間ではありません。むしろ、得ようとする心を、そっと横に置く時間だと思っています。
横に置けたら、置けたぶんだけ、何かが変わっているのではないでしょうか。

よくある質問

どのくらい続ければ効果が分かりますか

人によりますが、1〜2か月は効果を問わずに続けてみてください。研究でも8週間程度の期間で評価されることが多いです。ただし、期間が過ぎたら必ず分かるというものでもありません。

瞑想中に何も感じないのは普通ですか

普通です。瞑想中に特別な感覚がなくても、瞑想は成り立っています。「気づいて戻る」という働きは、感覚として現れにくいものです。

効果を感じないならやめたほうがいいですか

やめても構いませんが、やめる前に、効果を点検するのをやめてみてください。点検をやめて1か月続けると、見え方が変わることがあります。それでも手応えがなければ、やり方を見直すか、別の方法を試すのもよいと思います。

本に書いてある効果は嘘ですか

嘘ではありませんが、効果の範囲と程度は、研究で示されているものに限られます。「不安や抑うつに中程度の効果」という報告と、「人生が変わる」という宣伝文句は、別のものです。研究が示す範囲を知っておくと、期待の大きさを調整できます。

関連するページ

参考文献

  • Goyal, M. et al. (2014). Meditation Programs for Psychological Stress and Well-being: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Internal Medicine, 174(3), 357–368.
  • Tang, Y.-Y., Hölzel, B. K., & Posner, M. I. (2015). The neuroscience of mindfulness meditation. Nature Reviews Neuroscience, 16(4), 213–225.
  • Kabat-Zinn, J. (1990). Full Catastrophe Living. Delacorte Press.(マインドフルネスストレス低減法(MBSR)の原典)